幼児教室PAL パル・クリエイション

   
パル便り

パル便り「2008年9月号(リトル)」

野田雄二先生の「はだしのすすめ」〜健康は土ふまずから〜という本のーはだし教育のすすめーという章を抜粋で載せます。読んでみて下さい。

 

歩かなくて済む生活,転んでも汚れない環境と言うのは、確かに私たちに取って楽であり、面倒くさくないものです。しかし,そのことは、私たちが人間として最も基本的な身体機能と引き換えているということも忘れてはならないことだと思います。最近、子ども達の中でまっすぐに走れなかったり,転倒してもとっさに手が出なかったり、またボールを投げただけで骨折してしまったりという者が目立つと全国の小学校で報告されています。そして、それは児童ばかりか、青少年達にも見受けられるようです。 ( 中略 ) そこで、私たち人類が二足歩行をはじめるようになってから、長い歴史的経過を経て形成されてきたとされる適応現象のひとつである、“土ふまず”について考えてみたい。土ふまずと言うのは、誰もが知っての通り、足の裏の生理的アーチのことです。この土ふまずの役目は簡単にいえば、「跳んだり,飛び降りたりしたときの衝撃をやわらげるクッションの役目」「足骨の保護」「歩行時に於けるあおり動作の効率を高める」等があります。つまり、走ったり、歩いたり、跳んだりする為に大変重要な役割を果たしているのです。ところが、この土ふまずを現代人は失いつつあるとしたらどうでしょうか。決して大袈裟なことではないのです。

土ふまずは3〜5才児でその8割が形成されるといわれてきた。

調査結果  平均で51 %  6才児で59 %

            小学一年生で65 %  大学一年生で81 %

            小学6年生で89 %

      高校、大学受験期になると、土ふまずの形成率も落ちてくる。

      このことは、その時期子ども達が受験勉強の為に運動しないとい     

      うのが第一の要因であると思われる。

生活環境による差異

      保育園児を、都心・近郊・臨海・山麓四つの地域に分けて調べた。都心が低いと予測したが、結果は“団地っ子”といわれる近郊地域の園児達。・・・何故か。戸外で遊ぶことが少ない、乳幼児期にハイハイを充分出来ない、といった団地の居住空間によるものと推察できる。高層住宅にすむ子ども程、外遊びの時間が少ない。

 それでは、今私たち大人は子ども達に何をすべきなのか ? 勿論、野外活動の実践,自然との触れ合いも大切なことです。しかし、私たちはまず身近なところで、もっともっと歩くこと、走ることをさせるべきではないでしょうか。それも裸足になって、大地をしっかりと踏みしめ、五本の指を自由に動かし、足の裏の脂肪を燃えさせる。それこそが野外活動、自然との触れ合いのまさしく第一歩だと思われるのです。

  (裸足の実践をする学校が増えてきた。その結果、)子ども達は自分で自分の身体の調子をコントロールするようになってきています。また、その効果はただ土ふまずの形成に役立つといったことだけに留まりません。動作が機敏になり、どちらかといえば蛇行しながら走っていた子ども達がまっすぐ走れるようになり、やたらに転ばなくなりました。冬でも薄着でいられるようになり、カゼをひかなくなったという報告もされています。遊びに幅ができたことも見逃すことのできないことではないでしょうか。大人達が与えた遊び道具では飽き足らなくなり、子ども達が自ら考え工夫した子ども達本来の遊びをするようになりました。そして、最も重要なことは、裸足になることに子ども達自身が積極的である点なのです。強制ではなく、彼等が何よりも裸足になることを望んでいるのです。 (中略)子ども達を裸足にさせる。それによって、子ども達は足の裏から皮膚や末梢神経、そして脳への刺激を受け、もっと豊かな創造性を身に付けてくるような気がするのです。

 夏休みが終わって子ども達はみんな少し大きくなって教室に戻ってきました。さて、どんな3週間余りを過したのでしょうか。彼らの動きをじっと見ていてふと足の裏を見てみたくなりました。野田先生のご本によれば3〜5才で土ふまずはおよそ80%形成されるはず。

年少さんの足の裏を見て、まずまずの土ふまずが出来ていると思えた子はひとクラスの2割にも満たない人数でした。たくさん動かなければ…いつもに増して動きを多くプログラムを組みました。汗をいっぱいかきながら、子ども達はがんばります。気持ちはとても前向きです。一生懸命取り組みます。こんなにポジティブなのですから、毎月もっともっと歩いて走って欲しいと思いました。パルでは創設以来子ども達にずっと裸足で体操をさせてきました。裸足で外を走り回るわけにはいきませんが、足に都合のよいくつでたくさん動き回って欲しいと思います。基がなくては積むものも積めません。これからよい季節になります。子どもの成長はまずは足をきたえることから!です。