幼児教室PAL パル・クリエイション

   
パル便り

パル便り「2008年11月号(チャイルド)」

順調に秋が深まってきました。昼間は22 ~ 23゜ C 程に気温が上がる時もありますが、朝晩はめっきり涼しくなりました。気候の変わり目で、風邪気味のお子さんも増えているようです。帰宅時の手洗いうがいを実行して下さい。かなり効果があります。

 今回は、生活保育実践研究会代表の本吉園子さんのご意見を載せてみたいと思います。この記事の要点は「子どもに失敗をさせる」ことの大切さです。

―――子育て相談などを通じて最近感じるのは、我が子に苦しまず、悲しまず、困難に出会うこと無く、何でもできる良い子に育って欲しい、という完璧主義の母親が多くなってきたことだ。この背景には、我が子が失敗するのは親が失敗しているような恥ずかしさを感じていることがあると思われる。それがいやで,我が子の行動すべてにお膳立てをし、失敗しないように先回りしてしまうケースが多いのだ。子どもは物事全てを体験して理解していく。幼児の場合、最初は全部失敗するから、失敗を通して知恵を身に付けていく。危ないからと親が先回りしては、子どもの生きる力を奪ってしまう。大人が指示命令をすれば云われた通りにできる子にはなるが、ただ大人に従っているだけで、何の力も身に付かなくなる。私は、幼児期は失敗する為にある、と考えている。失敗をどう成功に変えていくか、そのプロセスこそが子どもに生きる力を与えてくれるのだ。 ( 中略 ) 幼児が自分で考えて、自分の行動に責任を持つ。そのように育つ為には失敗を見守っていられると云うことが大切だ。幼児が立ち向かうのは、全て新しい体験。最初はみんなできない。しかし出来ないことが当たり前。子ども達がいかに出来なくてつまずいていろいろなことを試してみるか、その寄り道の体験が多ければ多い程生きる力がしっかり身に付く。私は、幼児期と云うのはどんなにみっともない思いをしても、恥ずかしい思いをしてもいいから、とにかくできたと云う達成感が得られるようになるまでは親が見守るべきだと思う。失敗させてその中から自分で考えさせる。親に取っては中々難しいことだが、子どもの将来を考えるならばそれが本当の親の愛情なのだ。―――

 「失敗することが許されない」環境で子どもを育てることは、彼等に様々な弊害をもたらします。体操で新しいことに出くわしたりすると、失敗を恐れるのか“ あれは嫌だ ” “ これはやらない ” と逃げる子が時々います。造形でも、どんな絵を描くことが正解なのかを見定めるまで手が動かせない子がいます。絵に正解なんてないのに、いったい何処の誰が正解を作り出しているのかと、怒りさえ覚えます。挑戦したい気持ち、描きたい心、そのような意欲の育ちを無視することは、一人の人間の将来にどんな影響を与えるでしょう。