幼児教室PAL パル・クリエイション

   
パル便り

パル便り「2009年1月号(チャイルド)」

今年も又、風邪の季節がやってきました。吐き下しの風邪にかかったという話は随分耳にしますし、インフルエンザも千葉県の学校でついに学級閉鎖が出たというニュースを聞きました。予防注射も有効でしょうし、うがい手洗いも是非実行したいものです。

 今年もあと残すところ3週間弱、この一年はどんな年だったのでしょう。何年間かのこの時期のパル便りをひっくり返してみると、この4〜5年暗い世相のことばかりを話題に挙げています。戦争を憂い、温暖化を心配し、子ども間のいじめ問題や少年犯罪に非嘆に暮れた何年間かでした。そして今年はサブプライムローン破綻にはじまる世界的不況の年でした。今、新聞を見てもテレビを見ても自動車産業の解雇者数の話や中小企業が年を越せるかといった話ばかりで、少し前まで温暖化の影響を受けた風景を見せていた映像は皆が関心を無くしたかのように話題にのぼらなくなりました。実は戦争も温暖化もいじめも犯罪も何もかも解決してはいません。でも、今世間の関心は経済のことなのです。でも、よく考えると総ては今年の問題につながっているのでしょう。ノンフィクション作家 柳田邦男氏の新聞上のコメントを載せます。

何かこの国が変だな、と気づき始めたのは、経済大国と言われだした80年代ごろからです。校内暴力、家庭内暴力などの少年犯罪が、大きな社会問題となります。大人にも、拝金主義的傾向がでてきました。そんな危うさを一挙に加速させたのが。90年代のバブル崩壊後に進んだ新自由主義的な政策です。派遣労働の自由化が象徴的ですが、市場主義、効率主義が至上命令のようになりました。お金がお金を膨らますために、人間が振り回される。金銭欲が全開にされ、勝ち組、負け組なんて嫌な言葉ができた。ついに来るところまで来た、と思います。東京・秋葉原で起こった連続殺傷事件でも、そういう時代の傾向を背景に、子どもを勝ち組にさせるために、いい学校に入れ、将来恵まれた就職を、という母親の思い通りのものを提出させていた。優等生を演じさせられる中で、窒息寸前になった子は、反抗して勉強しなくなり、母を殴り倒し、最後には自滅的な方向にいった。根本的には、親の価値観がゆがんでいたからだと思います。これは象徴的な氷山の一角であり、似た事件がとても多い。拝金・成果主義に飲み込まれた親が子どもを虐待、放棄し、その子が10代半ばで反逆に転じる。どうすればいいのか。金融不安に端を発した今の不況の進行がさらに何をもたらすのか。怖いところがあるけれど、それを完全に正すには、世界を変えなければという大問題になっちゃう。今身近で取り組むべきは、子どもの未来のために、親の価値観、家族のあり方、社会的支援のあり方を変えるという課題に全力を注ぐことだと思います。

 子どもを先へ先へ走らせるのでなく、今を充実して過ごさせることの大切さを是非考えてみましょう。