幼児教室PAL パル・クリエイション

   
パル便り

パル便り「2009年9月号(チャイルド)」 

 暑さも一段落。今週は30℃にとどかない日が多いとか・・・。過ごし易い季節になりそうです。しかし、新型インフルエンザは下火になるどころか、どんどん拡大しているようで心配です。皆で協力し合って、感染を広げない工夫をする必要があります。うつらない工夫も勿論ですが、うつさない工夫、他人に不安を与えない工夫も大切です。熱があったり疑わしい症状が出ている時は、外出は控えた方がよいでしょう。そして、新型インフルエンザの時は早めの対応をする必要があるそうですから、適切な判断で医者に受診し、薬を飲む事が解決策かと思います。どちらにしてもかからないに越した事はないので、充分な睡眠と栄養の摂取、手洗いうがいを心掛けて下さい。

 さて、毎回のように子どものあるべき姿を守っていこうと云う話を書いてきましたが、昨今はもう少し強い警告が必要だと痛切に感じます。相変わらず小学校受験の私立熱は高く、私立校入学を手に入れることを第一と考える人が少なくないようです。理由としては、教育のレベルと云うのが一番なのでしょうが、他にもイジメなどのトラブルがいやだから ( 自分の学区域が荒れているから )  等の理由を掲げる人もいます。しかし実際私立に入学を果たした人の中には、私立の弊害を訴える人も少なくありません。想像しても分かることですが、幼児のうちに競争を強いられ、したくない訓練を長期に渡ってしてきた子どもには、相手を思いやる気持ち、自ら考えて行動を決定していく力が欠けてしまう等と云う側面がどうしても出てきます。そうした子ども達の集まりは、暖かく豊かな心を育むに適した場所になり得るのでしょうか。又、中堅で進学に力を入れている学校等は、子どもの為より学校の為とばかり、かなりの時間を束縛し、反復練習といった詰め込みを強いる所が多いようです。

 このところ年中さんの中にもボツボツ、進学塾に行き始めた弊害の出ているお子さんを見かけます。お母さん方は静かに始めているつもりでも、子ども達に取ってはもの珍しいのか、授業中でも構わず塾の話を積極的にします。話すだけならまだよいのですが、不安が強い子は答えが明確な塾の内容に依存し、パルの造形のような自分の意志の力、考える力の必要な課題を、難しいと云って手が出せなくなるようなのです。材料をいつまでも手でもてあそんで、ひたすら足し算ができる事を周囲に知らしめようと唱え続ける姿を見ると、痛々しい限りです。今足し算が出来たからと云って、それを子どもはどう活かすことができるでしょう。計算は計算だけに留まり、何の効果も上がりません。もっと柔軟な、実感を伴う活動こそが幼児の育まれるべき能力を健やかに伸ばしてくれるのではないでしょうか。よしんば受験に成功したとしても、その成功がその後の彼等の伸びまで約束してくれるわけではありません。覇気のない子ども時代は絶対に避けるべきです。子どもが大きくなっていくプロセスを、子どもの生活を想像して考えてあげて下さい。ゴールは遠い先にあるのですから。