幼児教室PAL パル・クリエイション

   
パル便り

パル便り「2009年12月号(チャイルド)」 

 今年の気温の変動は、少しずつ着実に寒くなっていくというパターンではなくすごく寒い日が突然やってきたかと思うと、又少し暖かさが戻ったり、と体を慣らすのが大変です。今日は何を着て出掛けようかと、毎日迷っている気がします。加えて新型インフルエンザもまだまだ終息の様子は見えず、気の抜けない冬になりそうです。体力を落とさないよう充分気を付けてあげてください。

 年中さんの造形の時間に土粘土で動物を作ってもらいました。導入で自分の好きな動物について、その特徴を話してもらいました。少し難しい問題ですが、子ども達は懸命に考えてくれます。ボキャブラリーが多くはありませんので妥当な言葉を使ってスムーズに、というわけにはいきませんが、言語化する作業をすることで明らかに子ども達のイメージがはっきりしていくのがわかります。漠然としたイメージで動物を作らせるのと、こうした作業を通してから作らせるのとでは、動物の表現が変わってきますし、何より、どうしてよいかわからず粘土に手が出ないという子が激減します。親と子の会話は、ともすれば単語だけ発すれば分かってしまうことが多いのではないでしょうか。しかも、こうした会話は命令、依頼といった内容が多いので、それでお互いに立場を察すれば分かってしまう、ということになるでしょう。だとすれば、親子関係以外の人との会話はどうなのでしょう。付き合う時間が長ければある程度親との関係に近づくでしょうし、初対面では理解が不能ということになります。この時期、ニュース等で受験塾での子どもの様子の映像が流れたりします。こんなに大変な訓練をしているんですよ風なエピソード映像を、ある日ふと目にしました。

「魚とは、どんな生き物ですか」

「ハイッ!海に暮らしていて、えら呼吸をします。水の中をひれを動かして泳いでいきます」

すごいねえと誰しもが思うのでしょうが、この答え方はパターンで覚えさせられていることは見え見えです。「えら呼吸をします」「えらがあります」この答えをした子は実際に魚について興味を持って、見たり、触れたりしたことはあるのでしょうか。魚は水の中で口をパクパクしていますが、それがえら呼吸をしているのだと認識しているのでしょうか。明らかに魚とは、に対する答えは何個その要因を言いなさい、その内容はこれとこれ、と叩き込まれているんだな、と想像できます。こんな学習(?)をする前にもっと着実に身につくまっとうな学習をして欲しいとつくづく思います。

 子どもの興味の幅を広げる工夫、その興味について親子で語り合う機会、そうしたことばを増やす努力、気づきが、必然的に子どもの表現力を高めていきます。しかもこうして身につけた表現力は本物ですから、うそっぽく聞こえることもありません。実際の話、小学校受験で上記のような答えを羅列することを要求されているのでしょうか。自分の経験に照らし合わせて自分の言葉でイキイキと人に話す気持ちを持った子が望ましい子ではないのでしょうか。