幼児教室PAL パル・クリエイション

   
パル便り

パル便り「2010年 7月号(チャイルド)」

 清々しい陽気を味わったのもつかの間、あっという間に蒸し蒸しと不快な
梅雨時に突入です。梅雨入りが遅れた分、梅雨明けはいつになるのか、気になる所です。
 今回は年長のカリキュラムについて、すこし解説したいと思います。
「絵画 私はどこ? “とこちゃんはどこ”より」(6月2週目)松岡享子作・加古里子絵の”とこちゃんはどこ”という絵本をご存知でしょうか。とこちゃんという赤い帽子に青いズボンの男の子を、市場や動物園や海水浴場といった雑踏の中から探し出す、をテーマにした”ウォーリーを探せ”の幼児版の様な絵本です。子ども達はまず探し出されるはずの自分を一人カードに描きます。それから探し出す場面を決めます。林の中・プール・デパート等々を大きな画用紙に描き、その場面にカードに描いたのとは少しずつ変化させた人物を描きたしていきます。出来た作品は、お家の人に試すことが出来ます。始めにカードだけを見せて覚えてもらって、カードを伏せて大きな画面から本物を探してもらいます。このカリキュラムは子どもにとってどの辺が難しいのでしょう。

  • カードに描いた本物と画面に描く人物との間にわずかな差異を作る必要を理解できないと、このゲームは成り立たない。帽子、靴、髪型、服の模様・色等いくつかのポイントのほんの一部を変えることで見つけにくくする工夫をしなくてはならない。

  • 画面の偽物は、一人や二人描くだけでは本物との比較が簡単に出来てしまうので、ある程度たくさんの人を、しかもそれぞれに変化を持たせて変える。
  • 探して欲しい人物は、カードの本物と全く同じに描かなくてはならない。

このようにあらかじめ決められたルールを理解して納得し、自分の画面に再度ルールを構築していく作業をしていく訳です。いくつもある条件に一つでも則っていない物があれば、このゲームは破綻を来します。
  子どもに絵本を見せて、探してもらうことは出来ても、それは直感で片付けている作業です。大人が企画して絵本を作る作業を、子どもにシチュエイションを変えて作りなさいと提示する訳ですからかなり難しいと思われます。しかし子ども達は、相手に探させる、という楽しみのゆえに嬉々として取り組み、難なく課題をクリアしていきます。同じ物はどれでしょうなどという陳腐な問題に関わるより、より本質の理解に繋がります。