幼児教室PAL パル・クリエイション

   
パル便り

パル便り「2010年 9月号(リトル)」

  なんて暑いのでしょう! 毎年この月のパルだよりには暑い夏の話が登場しますが、ついに極まれ
りというところまで来たようですね。温暖化をどうするか、等と冷静に議論する気力さえ残っていないように感じてしまいます。とりあえず、自身の体調を保つ事が(お子さんの体調ももちろん)
目下の急務です。
 8月半ばに教室に戻ってきた子ども達には、明らかな成長の跡がありました。実際に何が出来るようになったかというより、彼らが外に向けてより心を開いてきたなという実感があり、その変化によってものごとに取り組む姿勢が以前よりリラックスしていて前向きなので、出来る事の度合いが上がったなと感じられるのです。

 夏休みは子どもを一段と成長させてくれる季節です。でも、暑いのに毎日育児に追われているお母さん方にしてみれば、この時期の子どもの変化は「より扱いにくくなった」と感じる事の方が多いのでしょうね。2~3歳にかけて現れる”こだわり”や”主張”は個性豊かで、大人に取っては予想もつかない事だったりするので、戸惑わされるばかりという事が多いかと思います。でも”こだわり”は、母子の愛着が確立し、お母さんを「安全地帯」として子どもが自律を始めた事を意味するのです。「ここまで無茶を云ってもお母さんは自分を愛してくれるよね」といった愛情の確認や「これをやり遂げればきっと自分で出来るようになる気がする(自分が、自分がと何でも一人でやりたがる)」といった自己全能感(自信)を持つという意味も含まれているのです。ですからこだわり始めたら自律しようとしているサイン、成長への兆しと考えて、少しくらいのこだわりにはおおらかに接して欲しいと思います。

 従順だった子どもが、親の云う事と違うことを主張するようになると、お母さん方は「育てにくくなった」「素直じゃなくなったみたい」と感じるようになるのです。子どもの親に対する拒絶や不従順は、子どもが親への依存から脱し、自律独立の第一歩を歩みだしたということ。親の云う事に何でも従う他律的であった子どもが、今や自分で判断して(この「判断」が個性的だからこそ、大人には理不尽に見えてしまうのでしょうが)行動する自律性を身につけた事を示しているのです。この、世に云われる”第一反抗期”が明確に現れずに大人になった人には、自我が弱い、決断力に欠ける、欲求不満耐性も弱い、等の特徴が見られる、と発達心理学者は云います。お母さん方は、この2歳から3歳にかけての子どもの特性を充分に理解する必要があります。

 「もう文字を覚えた」とか「難しいパズルをやってのけた」等の能力がたとえ人より早く進んでいたとしても、心的発達は順を追って進んでいくしかないのです。
この子ども達とどう付き合うか、この年齢の子ども達は多かれ少なかれこんなものなのだ、と腹を括り、ゆったりとした気持ちで受け止めるようにして下さい。そろそろ幼稚園の入園考査も気になる時期ですが、結局のところこの年齢の特性に逆らったしつけ方をして考査に臨んだところで、
子どもとの軋轢を深めるだけで得るものは少ないと思います。ここを乗り切るのがお母さんの腕の見せ所と心得て、がんばってみて下さい。勿論私たちも強力にサポートをしていきます。