幼児教室PAL パル・クリエイション

   
パル便り

パル便り「2011年度 11月号」

 

 やっと暑さも収まって、爽やかな気候になってきました。でも、日によって気温差が激しく、体調を崩す子どもも増えています。衣類の調節等に気をつけてあげて下さい。
2008年11月のパルだよりに載せた、生活保育実践研究会代表の本吉園子さんのご意見を、ここで再度取り上げてみます。この記事の要点は「子どもに失敗をさせる」ことの大切さです。
―――子育て相談などを通じて最近感じるのは、我が子に苦しまず、悲しまず、困難に出会うこと無く、何でもできる良い子に育って欲しい、という完璧主義の母親が多くなってきたことだ。この背景には、我が子が失敗するのは親が失敗しているような恥ずかしさを感じていることがあると思われる。それがいやで,我が子の行動すべてにお膳立てをし、失敗しないように先回りしてしまうケースが多いのだ。子どもは物事全てを体験して理解していく。幼児の場合、最初は全部失敗するから、失敗を通して知恵を身に付けていく。危ないからと親が先回りしては、子どもの生きる力を奪ってしまう。大人が指示命令をすれば云われた通りにできる子にはなるが、ただ大人に従っているだけで、何の力も身につかなくなる。私は、幼児期は失敗する為にある、と考えている。(後略)―――
 「失敗することが許されない」環境で子どもを育てることは、彼等に様々な弊害をもたらします。体操で新しいことに出くわしたりすると、失敗を恐れるのか“ あれは嫌だ ” “ これはやらない ” と逃げる子が時々います。体を動かすことが気持ち良くて、じっとしていなさいと云われても自然と体が動いてしまうのが幼児なのに・・・評価をされるとなると、気持ちが落ちていく。運動するチャンスを逃してしまう事になりかねません。造形でも、どんな絵を描くことが正解なのかを見定めるまで手が動かせない子がいます。絵に正解なんてないのに、いったい何処の誰が正解を作り出しているのかと、怒りさえ覚えます。挑戦したい気持ち、描きたい心、そのような意欲の育ちを無視することは、一人の人間の将来にどんな影響を与えるでしょう。今、日本の教育はターニングポイントに立っていると思います。そろそろ受動的な子ども、心ない教育を受ける子どもを造るのはやめませんか。
 この時期ご多忙の方もおいでかと思いますが、どうぞ作品展にお越し下さい。子ども達の快心の作品が、皆さんをお待ちしています。