幼児教室PAL パル・クリエイション

   
パル便り

パル便り「2012年度 8月号(チャイルド)」

 今年の梅雨明けは、20日前後だということです。確かに雨も降りますが、割合メリハリのある天候で、洗濯物が溜まって仕方がないというほどでもなく、夜になると気温も下がり、例年の梅雨より過ごしやすいのかなと思います。東京はそんな状態ですが、大雨にたたられた地方の損害はいつもより大きいようで、過ごしやすい等とのんきなことを言っていてはいけませんよね。

 さて梅雨も明ければいよいよ夏休み。この休みは、子どもが家庭に戻って日常を過ごす一番長い休みです。子どもたちにはゆっくりとした生活を送って欲しいものです。昔と違って、近頃は幼児といえども一週間を忙しいスケジュールで埋められている子が珍しくありません。特に私たちは塾の夏休み特訓の存在等を危惧しています。人は次々と新しいことを覚えていくことだけで大きくなっていく訳ではありません。心の発達があってこそ、人として成長していくのです。幼い頃の記憶は残りにくいものですが、では全て消えてしまうのかというとそうではなく、深い意識の底に蓄積されていて、その後に出来上がっていく、自我をコントロールする「超自我」として大きな役割を果たすのです。育った環境によってこの「無意識の意識」の形成が歪められると、精神的な成長が危ぶまれることになります。スケジュールに追われて足下をじっくり見直す暇もない、ゆっくりした気持ちになることも無い、こんなことの繰り返しで心が空っぽにならなければ良いが、と思います。

 子どもの学習力は、かなりの部分生活自律に根ざすところがあります。先日の年中カリキュ ラムの「野菜の色水屋さん」も、色水を作る仕組みを理解すると共に、それにまつわる各々の 作業の動作が出来て初めて楽しさが味わえ、理解も完結するのですが、作業動作がおぼつかな い子がポツポツいた様です。自分でコップにお茶や牛乳を注ぐとか、お風呂で使ったタオルを しぼるとか、こぼしたジュースを拭き取るとか、それらを全部お母さんにさせているのでは、 と感じられる子がいます。具体的に何々が出来ないというだけでなく、本来自分でやるべきこ とを人に肩代わりさせている子は、根気や気力も欠けるようです。生活の術を身につけること については、子どもは結構自分でやりたがる時期があります。そのチャンスを逃さなければ、 程よく自律が出来ていくのですが、家で過ごす時間が少ないとチャンスを逸します。
 
 幼稚園のない夏休みは、一度生の中味を見直してみる絶好のチャンスです。受験を目指し ている年長さんも、この辺をきちんと整えておくことが、最後に力を示せることになると思い ます。今だけ特別、今だけの我慢という発想は、大人にのみ通じるもので、大人が言い訳しな がら片目をつぶって生活していくことは、子どもには通用しません。お子さんの生活がおおら かに豊かに流れているかどうか、チェックして見てください。どうぞ良い夏休みをお過ごしく ださい。