幼児教室PAL パル・クリエイション

   
パル便り

パル便り「2010年 はる(チャイルド)」

 今年の3月は寒暖の差が激しく、日々倍程も違う気温に着たり脱いだりが忙しく、体を気温に合わせるのが大変です。それでももうじき春本番ですね。
 年長さんはもうすぐパルを巣立ちます。そして小学生になります。それぞれ新しい出会いに向けて旅立ちです。どんな先生や友達に出会うのでしょう。長い人は4年間もパルで活動しました。みんな何でも出来るようになり、既に自分から物事に取り組む姿勢を獲得しています。席に着いて人の話を興味を持って聞く、そして自分の考えを堂々と発言するという姿勢も立派に出来ています。授業中にフラフラと立ち歩く心配なぞ、どの子もいらないと思います。
 さて、そうして溌剌として小学生になろうとしている子どもたちに、どう接していくのが良いか、これが最後の老婆心と思って聞いてください。まず、毎日「~しなさい」を連発しない様心掛けてください。「時間割は揃えたの?」「宿題はやったの?」「先生のお話はちゃんと聞くのよ」「ハンカチは?ちりがみは?」子どもの自律を損なうような注意や質問をなるべくしないこと。人には節目と云うものがあります。気持ちも新たに何か決意しようと思う先に、ああしろ・こうしろはマイナスです。親はじっと見守る忍耐力を持ちましょう。それよりも、今までは幼児だからと多くの部分を許されてきた子どもたちが、親の手を離れて世の中に出て行くのですから、きちんと他人に敬意を払って生活できる子どもにしなければならないという点に気を配ってください。公衆道徳を守れない、大人に対して横柄な態度を取る、わがままを貫こうとする、こんな子どもでは困ります。我が子の自律度をチェックしてみてください。挨拶は自然に口に出来る程身に付いていますか。又誰にでも挨拶できますか。人にものを頼むときの言葉遣いは適切ですか。感謝の言葉がすぐに出ますか。友達との間にトラブルが起こったとき、口より先に手が出る等ということはありませんか。等等・・要は社会性が育っているかということです。教育学者の門脇厚司氏は、「子どもの社会力」という本の中で次のように書いています。
────日本人は子どもを育てることの主役とされるのは「教育」であると考えがちである。いい教育をすれば何でもうまくいくと思い込んでいる。しかし人の子は教育されることでそれほど簡単に、入れた器の形でどんな形にも変形させることが出来るような生き物なのだろうか、否 教育とは社会的人間としてそれ相当の資質が出来ていない人間に無理強いをしても効果は逆になると考えた方がいい。社会力のある人間に育てる為には、他者との相互行為(interaction)を豊かにし、他者と共同で行う実体験を豊富にする必要がある──
 子どもに対して、分かったか、覚えたかと強制的な教育に走るのでなく、まず社会力をつけさせることです。子どもの言動に適切な応答をして言語を育て、子どもの周りにいる人たちがそれぞれ子どもに対してどのような位置を占めていて、子どもにどういう役割を果たすように期待しているかをきちんと認識させることが重要なのだということだと思います。
 新一年生 みんな ガンバレ!