幼児教室PAL パル・クリエイション

   
パル便り

パル便り「2011年度 1月号(チャイルド)」

「今年の漢字、一文字」は「絆」だそうです。3月11日以降、あれからひと月、あれから三月、あれから半年、とずっと越してきた月日を数え、やっと「あれから九ヶ月」までたどり着きましたが、未だあの体験の記憶は生々しく、しかも不安材料は一向 に払拭されていません。何時になったらこの胸のつかえは取れるのか、悲観的な気持ちからなかなか抜け出せないでいます。それでも「明日」を信じて来年の計を立てなければ、ですよね。
 今年程、社会の絆を大切だと痛感させられた年はないでしょう。悲惨な状況を目の当たりにして、人々は被災地に大きく心を傾けました。普段は社会の中で人と人との関わりが大切だと意識せずに生活している人達も、これは一大事だと思ったことでしょう。更には原発事故が重なった為に、東北だけに留まらず、原発のある地域全てに危険が存在すると云う事実を突きつけられました。対岸の火事にはしておけない共通問題として日本人全てが考えなければならないように仕向けられたような気がします。
 しかし総論と各論はいつも食い違います。本来国全体がどう進むかを考えなければならない時です。さしあたって直接被害がない地域も、国が破綻すれば影響は甚大です。それでも大文字焼きで被災地の材木は燃やせない、といきり立って反対する人々がいました。ゴミは自治体内のどこかで処理しなければならないけれど、自分たちの傍らに処理場が来るのは嫌だ、と云うのに似ています。全体に包括されている「部分」は全体から切り離せません。被災地の瓦礫をどこの自治体が引き受けて処理するか、といった直接的問題も大切でしょう。でもそれだけではなく、日頃からどのように公共心を持つべきかを考え直す必要があります。これから未来を生きていく子ども達に、ただ競争に打ち勝つ術だけを教えていくのはどんなものでしょうか。どうしたら人との共存が可能か、それが全体支える術であることを教えていく必要があるのではないでしょうか。幼い心にやさしい気持ち、謙譲の気持ちをいかに持たせるか、そのようなことが今の社会にはいささか欠けてはいはしないでしょうか。
 どうぞ良いお年をお迎えください。