幼児教室PAL パル・クリエイション

   
パル便り

パル便り1月号(年少/年中)

 日一日と、寒さが増しています。それに伴い、ノロウィルスと思われる症状を発症する人も増えているようです。感染を防ぐのは、手洗い・うがいの実行が一番だと言います。手洗いも10秒15秒で済ませるのは有効ではないようで、最低30秒以上丁寧に洗う必要があるそうです。この際帰宅後の手洗い、ものを食べる前の手洗いを習慣にするようにしましょう。

 今年もあと少し。教室はクリスマス会の準備一色です。そんな中でもまだ片付いていないのが、筑波の小受験と学芸竹早の幼稚園受験。こんな時期まで引き延ばされて緊張を強いられる子どもがかわいそうな気がします。毎年の事ですが、今年強く感じた事はやはり、受験への準備の仕方が子どもに与える影響についてでした。幼稚園受験は子どもの能力だけを見られるのではないという事がある程度認識されているので、子どもへのプレッシャーはさほど大きくならずに済むのですが、小受験は過酷な訓練が子どもを苛みます。

 ここでどうしても納得がいかないのが、子どもの精神性を無視した、または無理解故の取り組ませが横行している事です。高校受験や大学受験なら、自分が目的に向かって努力するという自覚が本人にあっての事でしょう。だからこそ膨大な勉強量にも立ち向かうエネルギーが持てます。しかし幼児はどうでしょう。どの学校に進みたいか、といってもその「進みたい」にどれ程の想いがあるでしょう。進んだ先にどんな希望を見いだせるでしょう。幼児期の男子の将来の夢はサッカー選手であったり電車の運転手であったり、女子に至ってはケーキ屋さんやお花屋さんと答える子が圧倒的で、医者になるとか研究者になると言った大人びた目標は大概親の職業をトレースした想いに過ぎません。

こうした子ども達に、高・大受験並の認識で取り組ませるには子どもの意識がついて来ず、結果叱咤されながらの苦痛な準備となるのです。しかもその内容が「面白くない」ばかりでなく、子どもにとって理解不能な理不尽なものだったりするのです。絵画分野で遠近の描きかたや後ろ向きの人を描かせる指導等は最たるものす。子どもの心理として一番強調したいものを大きく描いたり、登場する人は全て前向きで説明したかったり、という子どもの特性が無視され、子どもはチンプンカンプンのままその指導を受け入れる事になるのです。大人っぽい表現で得点を稼ごうというのでしょうか。そんなまやかしを見破れない学校があるとしたら、こちらから願い下げです。もっと子どもの気持ちを汲んだ取り組みが出来ないものでしょうか。

 筑波小は抽選から試験まで約一月あります。その間多くの塾が直前講習を開き、凌ぎを削ります。直前模試も多く繰り広げられますが、模試なら変なプレッシャーは掛けられないだろうと思って受けさせたところ、取り組みきれない量の問題が出て思うように出来ず、むしろ自信を失う結果に繋がりかねないと
嘆かれたお母さんから話を伺いました。出題される可能性のある事は全部盛り込んでおこう、という大人の欲張った考えが返って子どもを戸惑わせるということになるのです。巧緻性の工作を課題として課すにも、楽しめるよう工夫してあげればストレスにならないでしょう。私たちが気を付けているのは、そうした点です。今年は後少しでこの狂争曲は終わります。でも既に来年への取り組みは始まっています。どんどん刺々しくなっていく、やる気を失っていく、そんな子ども達が来年こそは増えていきませんように、と祈るばかりです。そんなふうに追い込まれた子どもには、まず良い結果はついて来ないのです。
今年の年長在籍者中三人が慶応幼稚舎に進みましたが、彼らは最後まで平常心を保っていました。前向きなエネルギーを持ち続けられる子が上手くいく、これが長い間子ども達を見てきた私たちの実感です。