幼児教室PAL パル・クリエイション

   

パル便り

パルだより10月号 リトル/チャイルド

 最近読んだ複数の本で、VUCAと言う言葉を目にしました。「私たちは VUCAな先を見通しに
くい時代に生きている」VUCAって? Volatile(激動) Uncertain(不確実) Complex(複雑)
Ambiguous(はっきりしない) という単語の頭文字をとった造語だそうです。少し前から多くの仕
事がAIに代替される日がそう遠くなく来る、とか、気候変動のせいで地球の危機まであと10年か
も知れないとか、大方の人が耳を塞いで考えないようにしている様々なことが、でも実際にはあ
らゆる分野で議論されています。今回のコロナ禍で、日本のIT化がいかに立ち遅れているかが露呈
しました。公立学校でのオンライン授業ができなかったり、企業もリモートワークを含め働き方
の転換を迫られたりしました。菅内閣が誕生して、慌てて「デジタル庁」を立ち上げることにし
たりで、世界に遅れをとっていることをしみじみと感じさせられます。
 そんな中で、教育のあり方をどうすれば良いのか、考えてみようと思います。もう7、8年も前
に、このパルだよりに「EQ」について書いたことがあります。「EQ」とは非認知能力と同じと考
えて良いでしょう。「 IQ」=知能指数 すなわち認知能力と解釈してください。「EQ」とは「心の
力」。その時はEQについて、私の頭にあったのは子供にとっていわゆる学力を云々する前に養っ
ておくべき能力として紹介しようくらいの気持ちだったと思います。しかし今にして思えば、そん
なに容易く片付けてしまえる問題ではない、と考えました。今私たちは情報社会を生きています
が、その先にあるのは創造社会。その創造社会を担っていく人を育てるには、非認知能力が不可
欠だということが先進国ではとうに当たり前の考え方として受け入れられています。見過ごしてい
ましたが、日本政府が提言する2020年から順次施行される新学習指導要領には、”子供たちが主
体的に学びに臨み、仲間と協働しながら正解のない問いにも挑戦する、高次元での思考ができる
子供を育むことを目標とする”旨があります。政府は命題としてそのように掲げていますが、それ
をどのように実現していくのかは、未だ明確にはされていないと感じます。今年はコロナの影響も
あり、小学校から大学までどのような受験体制をとるのか不確定な部分が大きいのですがそれは
それとして、どれだけの人が主体的な学びを実現している、もしくはしようとしている教育機関に
関心を寄せているでしょう。何を指標に据えて学校選びをしているのでしょう。未だ偏差値に重
きを置いて学校を選ぶ人が多いのでしょうか。この先人が生きるのに必要なのは、受動的な優等
生的学習者になることではなく、自分の興味関心を持ち、主体的に学びに向かう学習者になるこ
と。これが将来希望する進路への切符を手に入れるための必須条件です。幼児は自ずと関心を
持ったことに粘り強く取り組む力や、興味を持って積極的に取り組む力を持っています。現在の伝
統的な教育システムでは学習量が増え始める小学校中学年くらいから正解を学ぶことの優先順位
が高くなることもあり、主体性が徐々に損なわれていく傾向にあります。でもジレンマなのが、で
は何が選択できるのか、なのです。どのような道筋を辿ったら有効な施設に巡り合えるのか。丹念
に探していくしかありませんね。ただ私としては子供たちの非認知能力を高める環境だけは整備し
ておきたいと思っています。授業でたくさんの問いかけを子供たちにしていますが、中には正解を
是として記憶ばかり養っていないだろうか、と心配な子もいないではありませんが。ですが私は
少なくとも「自ら考える」を中心に据えたカリキュラムを実行していきたいと思っています。自ら
問いを立てて自主学習する(これは中・高生のレベルです)ことは当然望めませんが、命題が示され
たらそれをどう解釈し、どう料理して自分の納得のいく状態に近づけるかという濃密な時間を過
ごしてほしいと思うのです。

授業のようすはこちらのフェイスブックよりごらんください。