幼児教室PAL パル・クリエイション

   

パル便り

パルだより11月号 リトル/チャイルド

10月始めの年長のクラスで「共同制作・ゲーム作り」という授業を行いました。このカリキュラ
ムは何年か前に導入し、毎年続けています。授業の主眼は、3、4人のグループで共同作業をどう
こなすか、今まで養ってきた工作の手段を使ってどうゲームを実現、完成させるかといったこと
です。輪投げ・金魚釣り・的当て等、いくつかのみんなが体験したことのあるゲームを掲げ、グルー
プごとに好みのゲームをチョイスして完成を目指します。
 しかしこれまでの取り組みではかなりの部分が予め決められていて、受動的な部分が多いカリ
キュラムなのではないかと思い始めました。先月のパルだよりにも書いた「子供たちが主体的に
学びに臨み、仲間と協働しながら正解のない問いにも挑戦する、高次元での思考ができる子供を
育むことを・・・」という新学習要領の趣旨を幼児に試すとどうなるだろうと思い、今年はテー
マ「ゲーム自体を創造する」方向に切り替えることにしました。材料も普段はそれぞれのチーム
に必要そうなものを予め分け与えていました。でも今回は何かに特化した材料を配ることをせず、
一同に集められた材料の中から自チームに必要なものを選び出すという方法に変えました。もの
を標的に当てるもしくは入れる、技を駆使して魚(又はヨーヨー)を吊り上げる、といったいわゆる
オーソドックスなゲームの枠組みを超えることは難しいのですが、根本的にはさほど変わってはい
なくても、ゲームの見た目もルール(やり方)もかなり斬新なゲームができました。感じたのは、幼
児の頭の柔らかさ、そして完成するまで粘り強く調整し続ける忍耐力を彼らが持ち合わせている
ということでした。取りかかり初めでは、無謀なことを始めたぞと先行きを懸念させられたもの
が、グループ内のそれぞれの子が案を出し合い(不備を指摘する子、それを立て直す子、皆それぞ
れに役割をこなしていきます。)なんとかかんとか思った方向に近づけていくのです。きっと十分
な時間と空間と仲間が与えられていたら、子供たちはどんな時だってこうして試行錯誤を繰り返
し、日々充実した活動に没頭できるのでしょう。いつもは出来上がったゲームをお迎えのお母様
方に参加してもらって楽しんでもらっていました。が、今年はこんな状況でそれも叶わず、子供た
ちが相互に相手のゲームを楽しむという方法に変えました。それでも子どもたちは充分面白かっ
たようです。
 案の定、今年の小学校受験は異例ずくめです。まず飛び込んできたのが、筑波の日程繰り上げ情
報。なんと1ヶ月の前倒しです。次に一次抽選での人数制限。例年5割程度通過するところを今年
はなんと3割ほど。パルの子供たちも去年の半分以下しか通過しませんでした。そして学芸大竹早
も一次抽選通過人数を極端に減らす方向に出ました。なんだか今年の子供たちが気の毒です。一
生懸命準備して最後に梯子を外された感じで、誰の何のための配慮なのか、もしくは責任逃れな
のか・・判然としません。ただ、この受験が最良最終のものではないということ。手に入れられ
なかったものを羨むより、何が一番子供にとって必要なのかを再度考え直す時なのかもしれませ
ん。有名私立小学校に入った子供たちが、主体的に学びに臨み高次元での思考ができる子に育っ
ているかというと、旧態依然とした学習方法の中で汲々としている姿も垣間見ます。真の学力を
得るにはどんな道があるのか、探索が必要です。

授業のようすはこちらのフェイスブックよりごらんください。