幼児教室PAL パル・クリエイション

   

パル便り

パルだより12月号 リトル/チャイルド

 巷では、コロナの第3波が来ているのでは、とさわがれています。気温と湿度が下がるとそれに
伴ってウイルスの活動が活発化するのだそうで、パルでは大急ぎで新しい加湿器を2台導入しまし
た。とにかく1波の時も8月の2波の時も難なく通り越してきたのですから、ここからも対策を怠り
なく授業を続けていきたいと思っています。
 ここ何年か、年長の造形プログラムで絵画の取り組みにくふうをしている点があります。そもそ
も生活絵画やお話の絵というのは、子どもが描きたくて描くタイプのものではありません。たい
がいは受験準備で必要となって、子どもは嫌々練習させられて、ここが違うのあそこが悪いのと云
われ、どんどん絵を描くのが憂鬱になっていきます。絵の表現に楽しさやエネルギーが感じられな
ければ、たとえ隅々まで丹念に塗り込めるテクニックがあっても意味がありません。仕方なく描
かれた絵には、よくカチカチに固まった直立不動の人間が登場します。たとえ横向きの顔が描け
たとしても、やっぱり生気に欠けているのです。パルの年長カリキュラムは一学期から徐々に人の
動きに気づかせる内容を入れていきます。それが実を結んで、「行ってみたいところ」というカリ
キュラムを行ったところ、何もサジェストしなくてもみんな工夫して動きのある人を活き活きと描
いていました。人が動いているように描こうと工夫する気持ちが、エネルギーとなって現れます。
描いた子ども達は自分の絵に満足した表情を見せます。そして自ら描いた絵について一生懸命説明
してくれます。本来はこのような活動が(大人の視点では稚拙に見えようとなかろうと)子供自身に
とって、またひいては受験用絵画にでさえ必要なのです。
 さて、「想像して描く」に関しては、別の問題があります。「好きなお話の絵」というカリキュ
ラムを行うと、お話事体に思い入れを持っていない子が出てきます。お話を聞くのが好きな子は即
座にイメージが広がるようですぐに手が動き出すのですが、「お話」に興味を持ったことがない
子は途方に暮れてしまいます。観察画のように視覚を使って”見たものを描く”のと異なり、想像し
て描く作業には、今まで培った記憶、言語力、総合力が求められます。絵は、訓練をすれば良い
というものではありません。イメージを自らの心中に広げる行為が先になければ、描く行為には
移れません。しかも大人ならともかく、子どもには義務でイメージを思い描くなどという作業は
不向きです。型に嵌った訓練はなお陳腐です。同じような練習をしている人がたくさんいるとした
ら、皆同じような絵になりかねないのです。「想像して描く」行為が得意な子どもを作るには、
テレビのヒーローに熱中させるだけでなく、たくさんの面白いお話を読んであげること、一つの
テーマについて家族で旺盛に話し合える環境を作ることをお勧めします。

授業のようすはこちらのフェイスブックよりごらんください。