幼児教室PAL パル・クリエイション

   

パル便り

パルだより2月号 リトル/チャイルド

 新型コロナウィルスに席巻されて一年が経ちました。皆今まで体験したことのない、本当に
不自由な生活を強いられました。早く元のような日常を手に入れたいと渇望する毎日です。
 大人の私たちでも気持ちを強く持っていないと心が壊れそうになる今、子供たちはどのような
状態に置かれているのでしょう。子供は自分の行動が制限されている等とは意識することはない
でしょう。そもそも子供は大人がその行動を制限しながら育てていますからね。ただ、以前には
あった「何の躊躇もない友達との充分な時間の共有」が減ってしまったことは間違い無いと思い
ます。幼稚園の長い休みもありました。復活しても時短だったり、分散登園だったり、途切れ途
切れの登園になりました。挙句に食事はおしゃべりせずにすること、と要請され・・・と見てい
くと、子供間のコミュニケーションは(喧嘩も含めて)必然的に減ってしまったのではないでしょう
か。協調であっても主張であっても、そのチャンスが多い程子供たちのコミュニケーション力は高
くなるはずです。この力を、説明力をどのように担保したらよいでしょうね。
 毎年一月の年長造形プログラムに「すごろく」の授業があります。授業の導入では、子供たち
から”すごろくとは何ぞや”を引き出すことに終始するのですが、例年に比べて今年の年長クラスの
子供たちには一単語一単語を引き出して書き出し、それを幾つかずつ繋げさせて説明をさせる、
という作業が必要でした。
Teacher すごろくってなに? Child サイコロで・・・・T. さいころをを使うんだね。 C. さい
ころで出た数だけ進んで・・・ T. 何々進むという言葉が出てきたよ、それで? C. 早くゴールに
着いたら勝ち! T. うーん、そもそもすごろくは一人でするの? 何人でするの?  C. 二人!
T. 三人じゃダメなの? C. 三人! T. そう、三、四人がやりやすいよね。ところでゴールって
言葉が出てきたけれど、どこからゴールに向かうの? C. スタート、スタート!
T. さて、さっき「進む」という言葉が出てきたけれど、すごろくにはいくつか決まりがあって、
その中の一つに「進む」というマスがあります。そのマスで止まったら、マスに書いてある数だ
け進めるという決まりです。他には何があるでしょう。 C. 「戻る」だ! T. そうそう「戻る」
それから? C.「休む」!・・・こんな感じでした。
 この後「進む」「戻る」「休む」をマークで表しましょう、という話をしました。そしてマー
クを使うとどうして便利なのか、子供たちに説明を求めました。世の中には沢山のマークがあり
ます。子供達にマークの例を見せると、知識はたくさん持っていて、かなりの数のマークをちゃん
と認識していました。ですが、何故とかどうしてといった内容を尋ねられることには慣れていない
ようでした。この一年、彼らは言葉で主張するチャンスがそう多くは持てなかったのかな、とい
うのが私の印象です。
 話は極端に飛びますが、今年から名称の変わった「大学入試共通テスト」の内容が気になりま
した。さまざま議論があった記述式は、結局導入困難となって、マークシートのままになったそ
うですが、しかし問われる問題は、より思考力や判断力、表現力を求める内容に変容したそうで
す。知識の蓄積も大切でしょうが、前のパル便りにも書きましたように、これからの世の中に必
要とされる能力について、様々な場面で着々と提示されるようになってきたのだと感じます。
上の三つの能力をその年齢なりに、いつも気に掛けて蓄えさせることを怠らないようにしなけれ
ばならないと思います。

授業のようすはこちらのフェイスブックよりごらんください。