幼児教室PAL パル・クリエイション

   

パル便り

パルだより8月号 リトル/チャイルド

 長雨が続いています。気温は低くても、蒸し蒸しするのは避けられませんね。梅雨はいつ頃明け
るのでしょう。梅雨明けと一緒にコロナウィルスの蔓延も収まってくれればいいのに、と祈りたい
気持ちです。
先週先々週と、年中さんの見学日がありました。今はコロナ対策のため、20 人クラスは見学のご
父兄を半分に分けて 2 週続きで見ていただいています。今回の造形の課題は「粘土のビル」と「色
水屋さん」でした。もちろん前者は粘土でビルを「作る」カリキュラムで、後者は野菜や果物をす
り潰して色水を「作る」カリキュラムです。ですが、「作る」技術を教えることに重きを置いてい
わけではありません。「粘土のビル」については、粘土を床にたたきつけて立方体を作ってそれを積
み上げていく、それだけの作業なのですが、立方体の大きさをどのように作るか、大きさの違う立
方体をどの順番で積んでいくか、実際に積んでいくといろいろな課題に突き当たります。始めに私
が粘土をランダムに積んで倒れてしまうところを見せて、なぜ倒れるのか、倒れないようにするに
はどんな積み方がいいのか考えてもらいます。倒れてしまう原因を口で説明してもらうのですが、
年中さんには適切な言葉を用いて文章を組み立てることがなかなか難しいようです。でも単語の
端々から、どうやら原因にたどり着いているらしいことは推測できます。「小さいものの上に大き
いものを乗せたら倒れる」という事実にみんなでたどり着いて、そこから実際に自分が作った粘土
の大きさを吟味しながら積んでいくのですが、目測が合っているとは限らずかなりの高さまでたど
り着いて崩壊!となってしまったりで、子どもは試行錯誤を強いられます。手で粘土を形作って、
それを目で確認して、バランスを考えながら乗せていく。その間子どもは、何を基準に作業を続け
ればいいのかを頭の中でずーっと考え続けているわけです。私はこの作業をこそ子供にして欲しい
と考えています。年長さんの「風で動くおもちゃ」然り、年中さんの「ティッシュの箱から」然り。
方法を教えてもらってその通りに作業をするのではなくて、自分で考えて何かに挑戦する。これが
これからの子ども達に必要な力です。
台湾の IT 相オードリー・タン氏がテレビでインタビューを受けているところを、たまたま見ま
した。タン氏は若くして台湾の大臣に就任し、コロナ禍でのマスク騒動を IT で解決し、一躍注目
を浴びました。高い IQ を持ち、中学を 2 年で退学(その訳はすでに大学での授業に参加したり、
大学の教授と論文のやり取りをしていて中学にはすでに居場所がなくなっていたからです)、16 歳
で起業を果たした強者です。氏は、考える力をどのように養っていたかを話してくれました。
子:今日学校に遅刻しちゃったんだ。
親:夜遅くまでゲームばかりしているからじゃないか。ゲーム機はしばらく取り上げる!
これがよくあるパターン。次は氏が幼少期に育んでもらった親との話し合いのパターン。
子:学校に遅刻した。
親:どうして遅刻したんだと思う?
子:昨日遅くまでゲームをしていて、朝起きられなかったんだ。
親:どうしたら朝起きられるようにできるだろうね。
子:ゲームをおしまいにする時刻を決めて、必ずその時間にゲームから離れる。
遅刻の理由もその原因も、解決の方法も結局タン氏本人が考え出すように仕向けてもらったのです。
失敗の理由を自分で考える代わりに頭ごなしに親の考えた理由と叱責を押し付けられては、本人は
委縮して物を考えることをやめてしまうでしょう。失敗と叱責の場面だけでなく、あらゆる場面で
子供は自ら考えて成長していく必要があります。知識を得るだけの教育は、すでに武器でなくなり
つつあるのです。「考える」の道具は言語です。ぜひたくさんの会話をお子さんと交わしてくださ
い。「君はこのことをどう考える?」というような展開で話を発展させていってください。「このこ
と」とは、子どもの悪いところという意味ではありません。世界の事象について話し合って欲しい
のです。

授業のようすはこちらのフェイスブックよりごらんください。