幼児教室PAL パル・クリエイション

   

パル便り

パルだより9月号 リトル/チャイルド

 コロナの影響は、下火になるどころか益々勢いを増して広がっています。デルタ株は子どもも
スルーしてくれないようで、保育園などでの感染が起こっているようです。幸い子どもが感染して
も重症化はしないみたいですが、子どもから大人への家庭内感染が心配だとか。大人への速やか
なワクチン接種が急がれます。パルでは限りなくオープンエア状態で、換気重視で授業を行って
います。スタッフもほぼワクチン接種済みですので、その辺りは安心できるかと思います。
 今、教育の世界ではどんなことが起こっているか知っていますか? 国が文科省経由でやっている
ことは、依然として変化が見られません。大学入試の記述式への移行も、その煩雑さを懸念して
先送りにしてしまいました。同じく、英語検定の結果を入試に組み入れるというのも、どこかへ
飛んてしまいました。大学入試が変わらないと、そこを終着点と位置付けて取り組んでいるピラ
ミッド型の教育体制は、変わりようがありません。しかし、この流れとは別に、世界の状況を見
据え、社会の変化をも見据えて教育のあり方を考えようという流れは着実に進みつつあります。
 文系・理系で振り分けられ、どちらかを選択して大学受験に臨むというのが今までの方法でし
たが、現実的にそれでは処理しきれない分野が続々と出現しています。ここに気付いて修正をす
る学校と、今まで通りのやり方になんの疑問もない学校とでは、明らかに格差が生じます。大学
の有り様が変わるのを指を咥えて待っていては埒があかないと考える人たちがいて、世の中では
少しずつ、今までと形態の違う学校も出現しています。こうした学校の進学計画は、日本の大学な
どすっ飛ばして海外の大学を見据えています。ただ、こうした流れが加速して、日本の大学の価値 がどんどん下がっていくのもどうかと思いますし、教育水準の低い国の未来はどうなるのでしょ
う。
 新しい学びにシフトする考え方として、「様々な知的営みに仕切りを作り、一つ一つを互いに
無関係なもののように切り離すことは無意味である」という思想があると思います。幼児の学び
を振り返って見ましょう。そもそも子供たちが大人を介さず遊びの中から学んでいる時は、ある
意味理想的といえます。勿論ずっと遊びと学びがそのまま続いていくのには無理があり、やはり
そこからは「教育」という枠組みに移行しなければならないのですが、せっかく全てが地続きの
学びだった世界を、突然無理矢理さまざまな分野に仕切って、それを事もあろうに「覚える」と
いう手段で成果を出そうとするのが、小学校受験の世界です。「教育」の入口のところで、これ
から変わるかも知れない流れに逆行するような方法で受験準備をさせられた子は、その先地続き
の学びを取り戻せるのでしょうか。
 年長さんの授業で、「地上以外のどこかに住むとしたら」を想像してグループで絵を描く、と
いう授業をしました。地中? 海中? 樹上?
・・・ではそれらの中から場所を一つ選択して、自分たちの家を作ってください。但し、海の中
に四角い形を描いて、ただキッチン・リビング・トイレ・お風呂、と仕切って普通に地上の家を
描いてもダメだよ。水中にあるのに、その家のドアを開けたら家の中が水浸しでは困ります。どん
な工夫をしたら水中の家に住むことが実現するかを考えてください。・・・
 この授業の肝は、上手な絵を描くことではありません。3人のグループで実際に水中に住む気に
なって、どんなことを克服しなければいけないか、それにはどんな工夫が必要か、考えてそれを形
にしていく、これが活動の中心です。専門知識は要りませんが、空気を取り入れないと息ができ
なくなる、汚い空気は外に出さなければといった概念は持って欲しく、表現としては家から水面
まで2本の管が突き出ている、でいいのです。描くほどに次々と克服しなければならないことが見
つかり、次々にアイディアを捻り出す。随分と充実した活動になりました。
因みに、出てきたアイディアを羅列してみます。
・何処にでも移動できる、潜水艦の機能を持った家。(端に大きなスクリューが2個付いている。)
・家の外に網で囲いを作って、魚を飼育する。
・潜水艦方式の家の船底に、たくさんの釣り針が垂れている。移動することで、あちこちの魚が
釣れる。
・野菜を育てる部屋がある。天井にたくさんのライトが。海の底は陽の光が届かないことを知っ
ている。
・家から水面まで斜めの管をつけて、滑って家に入る。滑り台方式。出るときは登れないので、
エレベーターで水面まで登る。等々

授業のようすはこちらのフェイスブックよりごらんください。