幼児教室PAL パル・クリエイション

   

パル便り

パルだより6月号 リトル/チャイルド

天気は、晴れたり降ったりを繰り返しています。あと2週間もすると梅雨入り、という予想が出ていて、気持ちの良い五月晴れは後何日味わえるのでしょうね。
パルの造形活動には、明確なポリシーがあります。年長のカリキュラムを例に検証してみます。

・絵の具 色実験・・・混色からできる色を実験で試す。三原色からどんな色が作れるか?
・工作 こま・・・コマが回る仕組みを考える。様々な形で回るかを試したり、塗り分けをしたら回した時にどうなるかを試す。 キーワード”やってみないとわからない”に則って進めていく。
・工作 風で動くおもちゃ・・・風が吹くとはどういうこと? 風をどのように利用したらものを動かすことができるか、仕組みをよく理解して動くおもちゃを作ることができるか?

このように、考える力を育む取り組みが年間を通して行われます。5月のパルだよりでも「こま」の授業からの話を書きました。諄いようですが、今回も「学びの大切さ」について書いてみます。

パルを立ち上げて40年になろうとしていますが、始めた当初から単にものづくりのノウハウを教えるだけのいわゆるお絵かき教室をするつもりはなく、考える力を養うことに注力して進めてきました。一つのカリキュラムの中にたくさんの「はてな」を仕込み、なぜだろう・どうしたら解決するだろうをたくさん話し合ううちに子供の頭の中に解決の道筋が見えてくる、そんな授業を行ってきました。もちろん正解は一つではありません。様々な取り組み方で、自分の考えた答えに近づいていく。一つの正解を盲信して答えを丸呑みするような子どもを作ってはいけないと考えてきました。それが今、今後求められている教育に合致してきたように感じています。

今世界は、第4次産業革命の真っ只中にいます。18世紀に始まった産業革命は、これを第一次として2次・3次を経て今第4次へと移行してきたのです。「第4次産業革命」は、2016年世界経済フォーラムで示された AIとロボット、モノとモノをつなぐインターネットIoTに代表される産業革命です。さらに世界経済フォーラムは2020年に「仕事の未来レポート2020」を発表し、この年にはすでに労働の29%が機械化され、2025年には52%の労働が機械化すると予測しています。今まで人間が携わっていた仕事のうちの半分が機械に取って代わられるとはどうなることを指し示しているのでしょう。もちろん単純に半分以上の仕事がなくなると言うわけではありません。新たに創出される仕事も出てきます。ただこれまでの産業革命が肉体労働を技術化したのに対して、第4次産業革命は肉体労働よりむしろ頭脳労働を技術化しています。新しく創出される労働のほとんどは、現在の労働より知的に高度な仕事になるのです。そうした世界に今行われている教育は、果たして役に立つのでしょうか。世界の教育学者たちがこの数年議論してきて出した結論は、「創造性」「探究」「協同」による学びのイノベーションが何より大切、ということでした。振り返って今の日本の現状はどうなっているでしょう。つい最近かつてパルに在籍していた子供の保護者の方から、編入試験のための推薦状を書いて欲しいと言う依頼を受けました。このお子さんの家庭は小学校受験時に様々な学校を検討して今の学校を選んだはずでした。その学校はメディアにも取り上げられ、ユニークな方法で教育がなされ、子供たちの能力を伸ばしていると聞いていました。しかし、実態は違っていたようです。何を教えるかではなくどのように学ばせるかが大事なのに、どうも学びのシステムに関する学校の認識は進歩していなかったようです。それで学びの本質を授けてくれる学校を探し当て編入試験に臨んだということでしたが、昨日無事に合格できたと言う報告を受け、喜んだところです。従来の教育ではだめだと考えてもではどんな方法をとることがこれからの教育に必要なのかには手が届かない学校が多く存在します。大人たちがかつて受けた教育は、残念ながら今の子供たちには不向きなのです。日本の国力はどんどん低迷しています。

「失われた30年」といわれたこの30年間、経済だけでなく教育の進歩も止まったままだということを、私たちは真剣に考えなければなりません。パルに通う子どもの保護者の方も小学校受験を視野に入れている方がおいででしょうが、上記のような事実に基づいてそれぞれの学校の評価を見直すことをお勧めします。本物の学びとは何かを今一度みんなで考えていきましょ

授業のようすはこちらのフェイスブックよりごらんください。