幼児教室PAL パル・クリエイション

   

パル便り

パルだより6月号 リトル/チャイルド

 先日、30℃越えの夏日になった日がありましたが、どうも朝晩の寒暖差が縮まらないようで、半袖のままで夕方帰路に着こうとすると肌寒さを感じることがあり、朝、服を選ぶのが難しい日々が続いています。昼間は熱中症に、夜は寝冷えに、マインドの切り替えが必要ですね。
 年長と年中の保護者の皆さん、5月あたまにお渡しした「発言の取り組み」のカードに目を通していただけたでしょうか。まだはっきりとした発言のないお子さんもいることは事実ですが、この先も全員に心を届かせるよう「発言」に耳を傾けていきますので、これからの進化の様子を期待していてください。一方通行の発信だけでなくお母様方の声も伺えると、誤解なくコミュニケートできると思います。疑問に思われたこと、お困りごと、なんでも伺います。紙面でも、直接お話くださることも歓迎です。お聞かせください。
 子どもの知的発達はどのように進んでいくのでしょう。子どもの様子を見ていると、それは遊んでいる時が一番効率よく進んでいるように見えます。「遊んでいる時」と書くと、皆さんは見た目にも遊んでいると分かる状況を連想するかも知れませんが、「子どもが何からも束縛されず、自由に過ごしている時」と規定すればいいかも知れません。能動的活動の中で子どもは自分の関わっている状況の中で「なんでだろう」「どのように取り組めばいいだろう」と常に考えを巡らしています。反対に、受動的な状態で物事に臨んでいる時は、自分に引き付けて考えることが難しかったり、興味が湧かない事柄だったりで、非効率な取り組みを余儀なくされています。このような状態が度重なると、子どもの生気が奪われることになりかねません。
 ある日のリトルクラス(2歳児クラス)の造形の時間。このクラスではできる限り強制的な時間を作らないようにしています。自発的に始まる彼らの遊びを見ていると、その中に十分な学びが存在することに気づかされます。そうは言っても、「こんなことが出来るようになって欲しい」という目標はあるわけで、この目標をどのように彼らの前に差し出すかが我々の腕の見せ所です。その日は糊を使って自由に遊ぶカリキュラムを用意していました。薄めた糊を刷毛で紙に塗り、それを壁に貼った大画面に貼って遊びます。中には自動車が描かれた紙やら木が描かれた紙などが混ざっています。これを切る作業は「カタログ切り」といって、紙に描かれたものを分断せずに周りを切ることを指します。この年齢の子どもには周りを上手に切り抜く観念も技術も希薄です。又、切った紙の裏表を意識して糊を塗るといった作業も、意識されることは少ないと言えます。しかし彼らはその遊びに取り掛かった直後から大画面の上に「世界」を作り始め、形あるものをメチャクチャに切り刻んだり、糊を裏表関係なくただ塗りたくるといった行動には出ませんでした。普通ならただ無闇に紙が重ね貼りされた画面ができるはずの活動が、一つの物語になって作られていきました。自由な時間の確保が、彼らが考えるきっかけを生んだのだと思います。
 もちろんチャイルドの造形活動もこうした考え方に基づいて行なっています。ただすでに彼らは「今日は何を作るの?」と、造形することを楽しむ気持ちを持って教室に来ているので、リトルの子どものようにその気になるまで待つ必要はありません。できるだけ速やかに、私たちが行う導入を飛び越えてカリキュラムに没頭してもらうように企むだけです。その上に更に情報交換のチャンスを取り込もうと取り入れたのが今回の「発言の取り組み」です。今までも授業の導入で同じ活動はしてきましたが、そこに特別にスポットを当てて個人ごとにその発達度を記録していこうというのは今回が初めてです。この話合いの時間もみんなが楽しんで、我先に話してくれるようになるといいと思っています。子ども達の意見には、驚くほど高度な考えが垣間見えたり、ニュースの情報に接していることがわかったり、頼もしく感じることがあるのも事実です。

高崎

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