幼児教室PAL パル・クリエイション

   

パル便り

パルだより12月号 リトル/チャイルド

 なかなか木々が色付かない、紅葉狩りはいつ頃からか、と言われていたかと思っていたら突然の師走並みの冷え込みに、体が追いついていけません。20 代から40代に多く出るのが、寒冷蕁麻疹という症状で、寒風に曝されたところが痒くなったり赤くなったりするのだそうです。一度なると7〜8年は繰り返すそうで、対策が必要です。肌の露出をできる限り少なくして防ぎましょう。手袋、マフラー、マスクと、空気に晒される所を極力防ぐアイテムを使う様にしましょう。又、インフルエンザの流行が止まりません。どんどん拡大して猛威を振るっています。こちらは発熱して2日間程の子どもに異常行動が発生している例があるらしく、先日はマンシヨンから転落した子どものニュースが出ていました。突然ゲラゲラ笑い始めたり、外へ飛び出そうとしたりするような行動も出てくるそうで、マンシヨンから転落した子の場合、お母さんが薬を買いに家を出た隙の出来事だったそうです。とにかく熱が出て2、3日は目を離さない様にしてください。  
 造形活動って何のためにあるのでしょう。皆さんはパルの造形にどんなことを期待なさっているのでしょう。「描く、作るが上手になる」、表面的にはそうなのですがそれだけでしょうか。中には小学校入試に役立つと思われる方もおいででしょう。もちろん役には立つと思います。入試用に関しては、今年から色々な場面の絵を描く宿題も出す様にしました。提出してもらった絵にアドバイスを書いてお返ししています。でもこれは便宜的なこと。パルの造形本体ではありません。リトルクラスはとりあえず「さまざまな素材に触れてみる体験を積む」をします。年少さんは「素材の特性を示して、どうしたら素材が思う様に扱えるか」を進めていきます。年中になると少しずつ考える力を伸ばす内容に移行し、年長ではさらにその力を強化していきます。  
 私は、造形活動を「総合的な学習」と捉えて行ってきました。年長クラスのカリキュラムにスポットを当てて考えてみましょう。[ビー玉転がし」という授業があります。下り専門のジェットコースターの様な道と、さまざまな仕掛けを箱の中に作り、一番高い位置をスタートにしてビー玉を転がす、というものです。まっすぐな道だけではあっという間にゴールで、面白くも何ともない。だとすれば右や左と曲がり角を作り道を長く作っていく必要があります。でも当然30cm×40cm程の箱の中には収まらず、道は箱の外へはみ出してはまた戻ってくるを繰り返し、箱の中に戻って最後は瓶の中にビー玉が落ちる様にするのです。この中に子どもが思考する要素はどのくらいあるでしょう。まず空間を把握するところから思考はスタートします。箱の大きさから全体の大きさを想像し、高さを予測してスタートの位置を決定します。柱を作るのに必要な高さの箱が手に入らなければ、箱を継ぎ足すことも必要になります。ほんの少しずつ高さを変えた柱が7, 8本必要でそのための箱選びは大変です。物差しで長さを測っているわけではありませんが、子どもたちは実際に箱と箱で足したり引いたりをしているわけです。できればなるべく長い道を、が子ども達の願望になります。組み立てはどんどん複雑になり、先に建てた柱を後からできた道の支えに利用したり、融通が効かないと頑丈で面白いものは望めません。上下に交錯した道の交点に当たるところに穴を開けて下の道にビー玉を落としてみたり、子どもの発想は大胆で奇想天外です。難しいのはもちろんで、何度もやり直しをする必要が出てきます。何故うまく転がらないかを検証し、どう直せばいいかを考えなければなりません。これらのことを1時間の中で作る作業をしているわけです。  
 こうした工作を自力で作り上げることができる様になるまでに、たくさんのカリキュラムを乗り越えてきたわけですが、この頃気になったことがあります。一から手順の説明を受けてする工作、絵を描くのも初めから構想を抱いてそれに沿って描くというより描きながら成り行き任せに進める絵画。こうしたことにはさほど困らないけれど、「ビー玉転がし」の様に方法は教えられても作る全体像は全て自分で考える工作になると、突然手が進まなくなる子がいることです。他にもいくつもの意思決定を必要とされるカリキュラムで、それを感じました。自分がどうしたいか、自分の中で考えを統合していく力が育っていないのではないでしょうか。多分依存型の生活からまだ脱しきれていないのでしょう。これはパルの授業の中だけで修正していける問題ではありません。生活の中からの見直しが求められます。自主的に考える力を発揮できる子どもを育てていきましょう。  
 
文部科学省 学習指導要領から抜粋  
<総合的な学習の時間の目標>  
変化の激しい社会に対応して探求的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目標とすることから、これからの時代においてますます重要な役割を果たすものである。  

高崎

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