幼児教室PAL パル・クリエイション

   

パル便り

パルだより7月号 リトル/チャイルド

 梅雨の訪れが遅れているようですが、もう間も無く梅雨はやってくるはずです。湿度の多い時期は、食中毒への気配りも欠かせません。エコバックには菌が付着することが多く、それだけでなくわずかの間に何万倍にも増えていくそうで、エコバックの洗濯はこまめにしたほうが良いそうです。また、この頃「劇症型溶連菌感染症」の名前をよく聞くようになりました。治療が遅れると、致死率が高くなるとのこと。体にできた傷に飛沫感染で菌が入ると大変なことになるようで、わずかな傷でも放っておかずに丁寧な手当てをする必要があるそうです。衣服からでている手や足の傷が感染源になるようなので、要注意です。

 つい10日ほど前のニュースで驚きの事件を目にしました。深夜にスマホでゲームをしていたところを父親に注意され、45歳の父親を殴ったり蹴ったりの挙句、足で頭を踏みつけて頭骸骨骨折を負わせた17歳の高校生の事件です。父親は脳出血の疑いもあり、加害少年は殺害の意思があったと供述しているとのこと。何故スマホゲームを注意されたくらいで自分の親を殺そうとする気持ちになるのか。この家庭はどんな営みを続けて今日に至ったのか。暗澹たる気持ちになりました。きっとこの少年には、育つ過程で身に付けなければいけない力に足りないものがたくさんあったはずですし、家庭も彼に対して誤った接し方を続けてきた結果だったのだと思います。

 子どもが小学校に入って”勉強”という新たなタスクが加わると、お母さん達の中には子どもに自主性がない・やる気に欠ける・すぐに挫けるといった悩みを持つ人が出てくると聞きます。これらの悩みにはある共通点があります。耐える経験、乗り越える経験、自ら決断する経験が不足している子どもが、このような状況に陥るのです。子どもが成長するには「不快」な思いが必要です。子育て心理学では、親はみだりに子どもが感じるべき不安感やフラストレーションを取り除いてはいけないとしています。アメリカ心理学会の会長を務めたセリグマン博士は「子どもはいつもいつもご機嫌でいる必要はない。成長のためには悲しみや不安、怒りを感じることも非常に大切である」と言っています。積み木を積むにも手と目の協調が伴わないうちは四苦八苦して途中で癇癪を起こしたりします。小さいうちは思うように手先も器用に動かないし、何をやるにも時間がかかります。でもそれは子どもが乗り越えるべきチャレンジであって、癇癪を起こしながらマスターし、どんどん手際や要領を覚えていくのです。こうやって”嫌だな” ”大変だな”という思いをして、「自分でやる力」「耐えながら頑張る力」は身についていくのです。これを「嫌な気分にさせまい」と先回りをしてやってあげてしまうと、子どもはそれが当たり前になってしまい、いざ自分でやらなくてはならないことに直面した時に折れてしまうのです。今回の加害少年事件も小さい時に適切な忍耐力を養わなかった結果の顛末だと思います。

 公園や教室での親子の会話を聞いていると、「親の譲歩」を結構な頻度で耳にすることがあります。中には子どもと大人の立場逆転のような会話も聞かれてギョッとすることもあります。大人の役割と子どもの存在は逆転を許してはいけないもので、それを曖昧に許していくと子どもの錯覚は治すことができなくなります。「子どもは自由に育てるのがいい」のはもちろんそうなのですが、何でもかんでも自由は危険です。広い牧場は柵で仕切られていて、柵を越えるとその先は断崖絶壁。この状況で子どもの自由に柵を越えることを認める大人はいないでしょう。子どもは大人の顔色を見ながらどこまで自分の意思を通していいかを測っています。限界をキッパリと言い渡すのは、親の義務だと思います。

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