●パルだより2月号 リトル/チャイルド
2025年がスタートしました。コロナ禍が始まって丸5年が経ち、ようやくあの緊急事態宣言が出されるような世の中に再び戻ることはないだろう、と思えるようになりました。穏やかな1年になって欲しいと願いますが、さまざまな懸念があることも事実で、そこから目を逸らすことはできません。アメリカではトランプ大統領の二期目が始まり、彼が信じがたい大統領令にいくつもサインをするところを目の当たりにしました。アメリカのWHOからの離脱は、せっかく新型コロナの脅威が去ったところに大きな不安をもたらします。又パリ協定からの離脱もその一つ、化石燃料の増産に舵を切ることになるようで、温暖化への取り組みはどれほど後退することになるのでしょう。心配は尽きません。
3学期の授業が再開しました。年長さんの1月3回目の授業は「紙版画?」です。この授業は、実験型の内容で紙版画の特徴を体感することが目標です。来週の「紙版画?」を行うためにも大切な授業です。そもそも紙版画とはどのようなものでしょうか。版画には 様々な技法があります。日本で古くから行われてきたのは木版画で、浮世絵などの作品が多く作られました。版画の利点は何でしょう。一枚の版から何枚もの作品を刷り出すことができることです。紙版画は木版画に比べて版の耐久性は低いので、刷れる枚数には限界があります。ですがハサミで紙を切って貼り重ねれば版が出来るという簡便さが幼児・児童にはマッチしています。
まず台紙に丸い紙を貼って子どもに見せます。この版にインクを塗って別の紙を乗せて擦ったらどんな跡が写る?と子ども達に聞いてみました。4つほどの回答候補を見せて選んでもらったのですが、残念ながら正解は選んでもらえませんでした。ではここからが実験。まず台紙にランダムに切った画用紙を1枚貼って刷ってみます。答えが出ました! 紙版画は台紙と上に貼った紙との境目が白い線で現れます。「あーっ、違った。右端のが当たりだったんだ。」真実を目の前にして、真摯に納得の様子。これでエンジンがかかります。貼れば貼るほど様々な表情が現れるので、みんな活動のスピードがどんどん上がっていきます。こんな時様々な約束事はあっさりとみんなの頭に入ります。版ができたらインクのテーブルに行って、ローラーでインクをつけます。ムラなく均等に塗らなければなりません。次は刷るテーブルに移って版の上に藁半紙をのせます。バレンという紙を擦る道具で隅々までしっかり擦ります。版から藁半紙をはがして、乾かすために敷かれたシートの自分の名前の書かれた場所に置きます。そして又自分の席に戻って、次の1枚を切って貼る。この繰り返しを子ども達は夢中で取り組んでいました。これだけの作業を一度の説明だけで、後は何の指示も受けずに年長の子ども達が易々とこなしていくこと自体、驚異です。彼らが如何に夢中になっているかが分かります。。
私の教育への目標は、子ども達一人一人が自分のしたいことを自ら探し、試行錯誤しながら納得のいく学びを得ていく、そんな環境を作ることです。ですがそれは活動する場所も含めて一朝一夕には難しく今のような形を取っていますが、それでも学びの内容が(画策した私の手を離れて)彼らを刺激して、好奇心いっぱいに活動してくれる姿を見ると、子ども達は「主体的な学び」に向かって歩を進めてくれているのは間違いないと思うことができます。「ああ、おもしろかった!」
これが私へのご褒美の言葉です。
授業のようすはこちらのフェイスブックよりごらんください。 |